4から5へ、ヴェロシティ ニトロはどう変わった?
PUMAの定番デイリートレーナー「ヴェロシティ ニトロ」シリーズが、4から5へと進化した。ヴェロシティ ニトロ 4は、フルレングスのNITROFOAMを採用することで、従来モデルより軽量かつ反発性に優れた走りを実現した一足。一方、ヴェロシティ ニトロ 5は、その基本設計を受け継ぎながら、クッション性やフィット感をより重視した方向へと進化している。
重量はメンズ27cmで4が約250g、5が約240g。5のほうが約10g軽量になっている。また、ドロップは4の10mmから5では8mmへと変更された。数値だけを見ると大きな変更ではないように感じるが、実際に履いて走ってみると、細かな部分で違いを感じ取ることができる。
一方で、4から5になったからといって、走りそのものが劇的に変わったわけではない。むしろ、4の段階ですでに完成度が高く、5ではその基本的なキャラクターを維持しながら、足入れやフィット感、細かな使い勝手を改善したモデルと考えたほうがわかりやすい。
PUMAのランニングシューズをあらためて振り返る
PUMAのランニングシューズは、他の大手シューズブランドと比較すると、ラインナップがそれほど多くない。エリートランナー向けのトップモデルは別として、大型スポーツ店などに行けば、ほぼフルラインナップを手に取って確認できるのはPUMAのメリットのひとつだ。
ラインナップが多くない一方で、それぞれのモデルがどのようなランナーをターゲットとしているのか、コンセプトが比較的わかりやすい。重量、機能、価格の3つのバランスも良く、大きく外すことが少ないのもPUMAのランニングシューズの魅力と言える。
そのなかでもヴェロシティ ニトロは、初級者から中級者まで幅広く使えるモデルだ。軽量でありながらクッション性が高く、さらにアウトソールにはPUMA独自のPUMAGRIPを採用しているため、グリップ力も申し分ない。
一方で、クッション性が高く柔らかなフィーリングを持つため、中級者以上のランナーにとっては物足りなさを感じるケースもある。ヴェロシティ ニトロでは不足する部分を補うモデルとしてデヴィエイト ニトロがあり、さらにデヴィエイト ニトロとヴェロシティ ニトロの間を埋める存在としてデヴィエイト ピュアがラインナップに加わったことで、PUMAのランニングシューズ全体としても選択肢がより強固になった。
そう考えると、ヴェロシティ ニトロはPUMAのランニングシューズの中でも、特に日常のランニングを支えるベーシックなモデルという位置づけが明確になっている。
外観
4は丸み、5はシャープなシルエット
外観については、ヴェロシティ ニトロ 4から5への変更は比較的控えめだ。どちらもPUMAらしいスポーティーなシルエットを採用し、ランニングシューズとしての機能性を前面に出しながら、普段履きにも合わせやすいデザインに仕上げられている。
特に横から見たシルエットには共通点が多く、「5になってデザインがまったく別物になった」という印象は受けにくい。ヴェロシティ ニトロというシリーズらしさはしっかりと残されており、4を気に入っていたランナーであれば、5を見ても違和感を覚えることはないだろう。
シャープになった5のデザイン
その一方で、細かく見ていくとデザインには違いがある。4は全体的に丸みを帯びたシルエットで、柔らかさや安心感を感じさせるデザインだった。それに対して5は、アッパーからソールにかけてのラインがシャープになり、より疾走感のあるデザインへと変化している。


ランニングシューズは性能が重要なのはもちろんだが、見た目も日常的に履くうえでは重要なポイントになる。その意味では、5のほうがスポーティーさが強く、実際に走りそうな雰囲気を感じさせるデザインになったと言える。
ドロップの変更もシルエットに影響
ソールユニットを見ると、5ではドロップが10mmから8mmへ変更された。ヒール35mm、前足部27mmという構成になり、4のヒール36mm、前足部26mmと比較すると、5は前足部のクッション性を意識した設計になっている。
数値としてはわずかな変更だが、シューズ全体のシルエットや足を置いたときの感覚には影響する。デザインだけでなく、横から見たときの形状にも走行設計の違いが表れている。
アッパー
一枚のメッシュをベースにした軽量設計
アッパーは4、5ともに通気性を重視したメッシュ系の構造を採用している。複数のパターンの生地を複雑に組み合わせるというよりも、一枚の生地をベースとして、必要な部分に補強を加えたシンプルな構造です。デザイン・機能ともに進化していることがわかる。
そのため、見た目からも軽量性を意識した設計であることがわかる。さらに上から部分的にラバー系の補強が入っており、足をしっかりとホールドするために必要な部分だけを補強。デザイン性だけではなく、重量を抑えながら実用性を確保するという考え方が見えるアッパーです。


5はシュータン周辺のクッション性を向上
4から5への変更でわかりやすいのが、シュータンや足を包み込む部分の感触だ。4のシュータンは比較的薄い生地を使っており、軽量性やダイレクトな足当たりを重視した印象がある。
それに対して5は、生地やシュータンにしっかりとした感触があり、クッション性も高くなっている。足を入れたときにアッパー全体で足を包み込む感覚が強くなっており、4よりもホールド感が増した。
ただし、4に使用されていた薄い生地でも、実際のランニングで大きな不満を感じることは少なかった。そう考えると、5であえて厚みを増したことは、必ずしも4の弱点を解消したというより、より快適な足入れを目指した変更と考えたほうがいい。


ミッドソール
最大の特徴はフルレングスNITROFOAM
4と5の最大の共通点が、フルレングスで採用されたNITROFOAMだ。ヴェロシティ ニトロ 3では2層構造のミッドソールを採用していたが、4になってフルレングスNITROFOAMへと変更された。
この変更によって軽量化が進み、シンプルな構造ながら高いクッション性と反発性を両立している。特に初級者にとっては、足への負担を抑えながら気持ちよく走れるというメリットが大きい。
一方で、3から4への変更によって、前後方向の剛性感が低くなったように感じるランナーもいるだろう。特に中級者以上で、シューズを強く押して前へ進みたいタイプのランナーにとっては、3のほうが好みに合っていたというケースも考えられる。
4から5への変更はあえて最小限
では、4から5になってミッドソールはどのように変わったのか。
結論から言えば、劇的な違いは感じられない。5もフルレングスのNITROFOAMを採用しており、ヴェロシティ ニトロの基本的な走行感はしっかりと受け継がれている。
これは5の進化が小さいということではなく、4の時点ですでにミッドソールの完成度が高かったからこそ、大幅な変更を必要としなかったと考えることもできる。
エネルギーリターン85%をうたうNITROFOAMは、日常のジョギングだけでなく、少しペースを上げたランニングにも対応できる軽快な走りを実現している。柔らかさだけに偏らず、沈み込んだ後にしっかりと戻ってくる感覚があるため、デイリートレーナーとして使いやすい。
4から5へ履き替えても、このNITROFOAMらしい反発感が失われていないことは大きなポイントだ。


アウトソール
4と5に共通するPUMAGRIP
アウトソールには、4と5のどちらにもPUMA独自のPUMAGRIPを採用している。PUMAGRIPは耐久性とグリップ力を両立したラバーコンパウンドで、ロードを中心にさまざまな路面で安定したトラクションを発揮するのが特徴だ。
ヴェロシティ ニトロ 4は、軽量なミッドソールに対してアウトソールをしっかり配置することで、路面を捉える安心感を確保している。5もPUMAGRIPを継続し、デイリートレーナーとしての信頼性を重視している。
公式には耐久距離の目安として約800kmが示されており、日常的なランニングで使い続けることを考えても、アウトソールに対する安心感は高い。


5はシューズ先端の形状を変更
アウトソールにも、5ならではの細かな進化がある。
5はシューズ先端部分が4よりも丸みを帯びたデザインへと変更されている。これによってシューズの先端部に適度な「あそび」が生まれ、足指を使って地面を捉えやすくなったことは、実際に履いてみても明確に感じ取れる。
ランニングシューズでは、足指がシューズの中で窮屈になっていると、長い距離を走ったときにストレスを感じやすい。その点、5は足指が自然に動けるスペースを確保しながら、シューズとしてのホールド感も維持している。


アウトソールのパターン自体は大きく変わっていないように見えるが、先端部分はラバーの密度を高めることで耐久性の向上も期待できる。派手な変更ではないものの、実際の使用を考えた細かな配慮がされている。
ヒール外側の耐久性には改善の余地も
欲を言えば、ヒール部外側のアウトソールには、もう少し耐久性の高い素材を使用してほしいところだ。
ランニングフォームによっては、この部分が特に削れやすい。ほかのメーカーでは、ヒール外側など摩耗しやすい部分に高耐久のラバーを配置しているモデルもある。
PUMAはアウトソール全体にグリップ力の高い素材を使っているため、路面をしっかり捉えるという意味ではメリットが大きい。しかし、耐摩耗性という観点では、すべてを同じ素材で構成するよりも、摩耗しやすい部分だけ耐久性の高い素材を使い分けたほうが、より実用的ではないかと感じる。
使用感
4と5で走行感に大きな違いはない
実際の使用感を比較すると、4と5では走行感にそれほど大きな違いはない。
むしろ、ここまで大きな違いを感じないことこそ、4の完成度がすでに高かったことの証明と言える。5になったことで別のシューズになったわけではなく、ヴェロシティ ニトロらしい軽快な走りはそのまま残されている。
特に特徴的なのは、やはりミッドソールに採用されているNITROFOAMの反発力だ。クッション性がありながら、ただ柔らかいだけではなく、接地後に適度な反発が返ってくる。そのため、ゆっくりしたジョギングから少しペースを上げたランニングまで、幅広い用途に対応できる。
足型に合わせた変更が5の魅力
5で明確に良くなったと感じるのは、ラストの見直しによる足入れの部分だ。
シューズの先端に適度なスペースがあり、足指にあそびがある。そのため、4よりも足先のストレスが小さくなったように感じられる。
ランニング中は、足がシューズの中でわずかに動く。その動きをすべて抑え込むのではなく、必要な部分はホールドしながら、足指には動ける余裕を持たせる。このバランスが5では良くなった。
さらに、シューズ先端部と路面との引っかかりも小さくなっている。足を前へ送り出す際に余計な抵抗を感じにくく、この点も4から5への進化と言える。
4が好きだったランナーにもおすすめできる5
4と5の違いをまとめると、4は軽快さやシンプルなフィット感が魅力で、5はそこに足先の余裕やアッパーの快適性を加えたモデルと言える。
一方で、ミッドソールの基本性能やPUMAGRIPによるグリップ力など、ヴェロシティ ニトロの核となる部分は変わっていない。
そのため、4が好みだったランナーにとって、5を購入して大きく期待を裏切られる可能性は低いだろう。むしろ4の走行感が気に入っていたのであれば、その延長線上で快適性を高めたモデルとして5を選ぶことができる。
まとめ
大きく変えなかったことが5の魅力
ヴェロシティ ニトロ 4と5を比較すると、5は「まったく新しいシューズ」というよりも、4で完成された基本性能を維持しながら、細かな部分を改善したモデルと考えるのが適切だ。
4はフルレングスNITROFOAMによる軽量性と反発性、PUMAGRIPによる高いグリップ力を備え、初級者から中級者まで幅広く使えるデイリートレーナーとして高い完成度を持っていた。
5では、その基本性能を変えることなく、約10gの軽量化、ドロップの10mmから8mmへの変更、アッパーやシュータンのクッション性向上、そして足先のスペースを確保したラストへの変更など、細かな部分に手が加えられている。
特に実際の使用感で違いを感じやすいのは、足先のフィット感だ。足指に適度なあそびがあることでストレスが少なく、日常的なランニングでより快適に使えるようになった。
一方、4から5になってもNITROFOAMの反発感やPUMAGRIPのグリップ力といった、ヴェロシティ ニトロの核となる部分は健在。走行感そのものに劇的な変化がないことを考えると、4を気に入っていたランナーは5にも安心して移行できる。
軽快さやシンプルな履き心地を重視するなら4、同じ走行感を維持しながら足入れや快適性を少し高めたいなら5。どちらを選んでも大きく外すことはないが、これから購入するのであれば、より完成度を高めた5を選ぶ価値は十分にある。

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