Adizro PRO EVO1のトレーニングモデルとして、2024年12月から店頭販売が開始された本格的ランニングシューズです。トップモデルのPRO EVO1は税別8万円以上と高価で、一般ランナーには手が出しにくい価格帯でしたが、トレーニングモデルのオフグレード版としてリリースされた本作 EVO SL は定価が税別1.8万円ということで、発売後2ヶ月でスポーツショップ店頭、オンラインショップにて完売状態となり、次回カラーモデルが発売されるまで品切れ状態に陥りました。
ここ数年では、ウェイパーフライ4%、メタスピードスカイ、AdiosPRO4などが同様の完売状態となり、ネット販売ではプレミアがつく状況が見られました。上記3モデルはエリートランナー向けの3万円近いであり販売用在庫が元々それほど多くなかったことが起因していると思われますがが、EVO SLは大手スポーツショップで普通に店頭販売されるような一般向けモデルです。
しかし直後に開催された2025年箱根駅伝にて、多数の選手がPRO EVO1を使用していたこともあり、類似モデルのEVO SLは瞬く間に売れてしていまい、品切れ状態に陥いりました。
ファーストモデルは、ホワイト・ブラックの2色展開です。
ホワイトの方がPRO EVO1と配色が同じで、遠目で見ると区別がつかないほど酷似しています。
ADIOS PRO EVO 1 との違い
Adizero EVO SL

Adizero ADIOS PRO EVO 1

そもそも、重量がまったく違うので、使用される素材すべてが違うと言っても過言ではないと思いますが、外観上ですぐに気付く大きな違いはアウトソールです。
左が EVO SL、右がPRO EVO1 ですで面は同じなので設計自体は共通のようです。ただ、EVO SLはContinental製のアウトソールを貼ってありますが、PRO EVO1は貼るのではなく、ラバーを塗った構造になっています。見た感じはシューグーのブラックにも近いです。

EVO SL(左)、PRO EVO1(右)


青山学院の選手たちが6人並んだ写真ですが、右から2人目・3人目の2人はアウトソールが黒く、残りの4人は白いアウトソールであることが判別でき、レース直後の選手と、それ以外ということがわかります。
非カーボンプレート
ナイキのヴェイパーフライが登場してから、各シューズメーカーからリリースされたハイエンドモデルは軒並み3万円近くの価格帯になり、ほとんどがアウトソール面を広く確保したカーボンプレート採用のシューズに変貌しました。
アディダスもナイキに遅れつつもカーボン製のエナジーロッドを発表し、搭載されたPRO4・SENなどのモデルは世界のトップランナーが使用し確実に成果をあげています。
2023には敢えてカーボン素材を使用せず、軽量化に振り切ったレーシングシューズとして発表したのがPRO EVO1です。PRO EVO1は8万円と高価であるにもかかわらず、フルマラソン1回着用のみの設計で、ほとんどのランナーは購入検討の余地すらなかったと思いますが、廉価版のEVO SLが発表されたことで一気に身近な存在になりました。
重量
サイズ違いがいくつかあったので、測定してみました。
練習用としては、軽量な部類です。ミッドソールはボリュームがありますが、樹脂製の補強パーツがないため軽く仕上がっています。あと1割軽ければ、レースで使用するランナーがかなり増えそうですが、サブスリー以上の方はレース用はPRO4を選択することになるでしょう。
アウトソールが非常に薄いこと、販売価格が高めであることを考慮すると、耐久性が気になるところです。

25㎝ | 25.5㎝ | 26㎝ | 26.5㎝ | 27㎝ | 27.5㎝ | 28㎝ | |
重量(片側) | 200 g | 205 g | 211 g | 216 g | 221 g | 226 g | 232 g |
EVO SL の位置づけ
アディダスは他のシューズメーカーと比較して、わかりやすいチャートをHPに載せています。
また、中級者以上の選択肢が複数あり充実しているのが特徴です。
今回、ご紹介するEVO SLはトレーニング用にカテゴライズされており、対象ランナーはトップ選手から初級者と幅広い層に渡ります。
このチャートだけ見ると、EVO SLが万能で他のトレーニング用シューズ(BOSTON・SL2・DURAMO)が見劣りしますが、各々にメリット・デメリットがあるため少し注意が必要です。

EVO SL は 誰もが使える万能シューズ!?
チャートではSUB2.5~SUB5までのランナーをカバーしています。言い換えると、大学駅伝に出場する学生や、実業団選手からマラソン初級者(5km/回を日課にして週末に10kmしか走らないようなランナー)などが対象になると思います。
まず、重量が224gしかないのでトップ選手のスピードトレーニングには使用できますし、クッション性が高いのでゆっくり長時間走るジョグにも使用できます。
一方で、SUB5に位置づけされる初級者は体が重くクッションが必要になることがあります。足裏のアーチ保持力が弱くヒール部などに補強がある方が望ましいですが、EVO SLはアウトソール自体の横幅が広いことで、着地面が広く安定性が確保しています。
上記の通り、ランナーの走力を問わないシューズですが、唯一不安なのはアウトソールの厚みが約1mmしかない点です。トップ選手なら前足部、初級者ランナーならヒール部のアウトソールが磨り減ると、早々に交換時期を迎えてしまいます。おまけに、価格も他3種(Boson12・SL2・Duramo)が割安ですので相対的にコストパフォーマンスは劣ります。



その他のトレーニング用シューズ
EVO SL以外のモデルは用途が限定的となっていますが、決してデメリットが目立つわけではありません。各モデルにも、それなりに優位性がありますのでフォローしておきます。
Boston12
グラスファイバーのロッドが搭載されているため、着地時のエネルギーを反発力として使うことができます。グラスファイバーが入っている分、重量があるように見えますが、それを補うだけの推進力をが得られます。前足部のアウトソールはEVO SLと同様にContinental ラバー(EVO SLより面積が広い)が貼ってあり耐久性も良好です。

SL2
カーボン・グラスファイバーなどが搭載されていないので、Boston12より軽量で安価です。アウトソール外側が縦に連結しているので、走行時も安定感があります。Continental ラバーを使用していない分、耐久性はやや劣るでしょうが価格も抑えられてます。クッション性もBoston12・EVOSLより劣りますが、しっかりトレーニングを行いたい中級者以上の方は、敢えてこちらを選択することがあります。

DURAMO SPEED2
チャートには掲載されていますが、DURAMOは元々は運動靴にジャンル分けされるようなシューズでした。アウトソールはフラットで面積が大きく確保されており、スポーツ全般向けのシューズです。
これからランニングを始めようという人にはお勧めできますが、毎日走ることを前提とするなら、もう少しグレードの高いシューズを選ぶ方が良いかもしれません。当然ながらこの中では最も安価で、スポーツショップだけでなく、カジュアルシューズメインの量販店でも販売しており買い求めやすいです。

EVO SL はレース向きではない!?
結論としては、フルマラソンでも使用できますし、レース用シューズとしての使えます。
SUB3.5~SUB4の方のレースには、丁度良く。ASICSのS4などと比較すると面白いと思います。
チャートには記載がありませんが上位モデルのPROEVO1がレース向けで、そこに耐久性を持たせトレーニングにも使用できるようにしたというコンセプトのため、メーカーの方向性としてトレーニング用の位置づけに絞ったのかもしれません。

アウトソール
消しゴムのように柔らかく手触りの良いアウトソールです。肉抜きを施しているうえ、押すと凹む弾力があるため不整地であってもリラックスして走ることができそうです。パターンはAdiosPRO4と同じく先端外側部分を削った設計になっています。
コレと言った特徴はありませんが、地面と接する面が広くとることで反発時のエネルギーを無駄なく伝える設計であると思います。

アッパー
特筆すべき点が見当たりませんが、足首のホールド力は良好です。アディダスのシューズは何足も購入してきましたが、足首周りのクッション性は良好でヒールの納まりが良好なモデルが多いです。
PRO4やSenに使用されているLIGHTLOCKという軽量素材と比較すると、アッパー生地はやや見劣りします。
また、前足部は少しあそびがあるため、靴紐の微調整は入念にする方が良さそうです。
シューレース&シューホール
シューレースは伸びないタイプで、特徴はありません。
シューホールは円形で抵抗があり、部分的な張りの微調整がしやすく、単純ですが重要なポイントです。

まとめ
EVO SLは優れたクッション性・軽量性の両方を併せ持つ、高機能シューズです。
価格は高めですが、ほとんどのランナーが機能性を体感できる、走者のレベルを選ばないシューズです。


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